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R E I C マ ガ ジ ン Vol.30
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[1] REICニュース
緊急地震速報の精度を上げる試み(気象庁による取り組み)
[2] 《特別寄稿》 『ゴールのない新たな道に向かって』
三養水産株式会社(宮城県石巻市) 取締役常務 辻 尚広氏
[3] かたやま通信-No.28 映画『唐山大地震』(REIC会長 片山 恒雄)
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[1] R E I C ニ ュ ー ス
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◆ 緊急地震速報の精度を上げる試み(気象庁による取り組み)◆
平成26年3月4日(火)気象庁講堂で緊急地震速報評価・改善検討会技術
部会(第5回)の会議が開催され、REICもオブザーバーとして参加してきまし
た。同部会は、緊急地震速報の精度を高めるためのもので部会長は阿部勝征氏
(東京大学名誉教授)、部会委員は青井真氏(防災科学技術研究所)他7名です。
まず、気象庁から緊急地震速報の誤報に関する説明があり、特に平成25年8
月8日の和歌山県北部の地震では、関東から九州地方の広範囲に緊急地震速報
(警報)を発表し、奈良県・大阪府に対しては最大震度7の予想でしたが、全
国いずれの地域でも震度1以上は観測されませんでした。この原因は、三重県
南東沖の海底地震計のノイズによるもので、既に装置の修復は完了しています。
今後、緊急地震速報をより確実なものにするため、日本各地の地震観測点の
予備電源やバックアップ回線の強化を行い、地震・津波等による大規模な災害
が発生した場合にも正確な情報を流せるよう対策をとっています。また現在気
象庁では、(独)防災科学技術研究所が整備した基盤強震観測網KiK-netのう
ち首都圏の大深度地震計や(独)海洋研究開発機構が紀伊半島沖に整備した海
底地震計(DONET)のデータを活用するための準備を進めており、さらなる
精度向上と迅速化に取り組んでいるということです。 事務局(松田)
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[2] 《特別寄稿》 『ゴールのない新たな道に向かって』
三養水産株式会社 取締役常務 辻 尚広氏
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三養水産株式会社は宮城県石巻市を拠点に牡蠣等を加工、販売する会社です。
当協議会が東日本大震災の現地取材を行った際、協力いただいたことが
きっかけとなり、交流を深めてきました。今回は震災から3年経った状況や
想いを綴っていただきました。
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あの震災からあっと言う間に時が過ぎ、あの悪夢の様な出来事から長い様で短
い3年間の中で今までに得られなかった様々な事が沢山有りました。
石巻の基幹産業でもある牡蠣養殖は、当社の事業をする上で多くの恩恵を受け
ておりました。ある意味驚いたのは生産者の早い立ち上がりと対応力の凄さ、
こんな時だからこその共同作業における養殖施設の迅速な整備、これも多くの
方々が支援して頂いた事が後押しとなり震災翌年には生産量が少ないものの多
少出荷できる体制にまでになりました。現在は落ち着きを取り戻し以前と変わ
らない状況ではありますが、失った販売先を取り戻すのは容易なことではなく、
水産業界被災地全体において大きな課題でもあります。
だだ、この震災の経験がきっかけで新たな動きも数多く、だれもが以前に戻る
と言うよりそれ以上に戻ろう「ピンチをチャンスに変える」という想いから、
これまでにあまりなかった横の繋がり、連携した取り組みが生まれて来たと感
じます。一人の力では限りがありますがみんなで知恵を出し合えば無限のもの
に変えられる、これからの地域にとって何が必要なのかゴールの無い新たな道
を創りあげ、新たな創造と発展に繋げて行きたいと願います。
ホームページ http://sanyou-suisan.com/
3年目にしてやっと生食用「殻付きの冷凍牡蠣」ができました。
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[3] かたやま通信-No.28 映画『唐山大地震』
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REICの私の机の横にパネルに入った大きな映画のポスターが置いてある。
新聞を広げたものの二倍はあろうかという大きさだ。映画の題名は「唐山大
地震」、「『アバター』を超え、総動員数2000万人 歴代最高記録樹立!!」,
さらに、「2011年3月ロードショー」と書かれている。だが、今のところ、
これは、幻のロードショーなのである。
話があったのは、その前年の暮に近い頃だったと思う。もう少し前だった
かもしれない。映画の宣伝会社に勤める若い人からの電話だった。「中国でか
つてない観客動員数を記録した映画の公開を予定している。ご協力頂けない
か」それが、「唐山大地震」だった。宣伝員の人は、私が中国人の翻訳原稿を
監修して1988年に朝日新聞社から出版した「唐山大地震 今世紀最大の震
災」を小脇に抱えて東京電機大学のオフィスを訪ねて来た。
自分で言うのも変だが、たぶん私は、唐山地震について語ることのできる
最適の人間の一人だったと思う。1981年8月の真夏の中国を、18日間にわた
って海城地震、唐山地震の被害を調査していたし、刊行物もたくさん集めて
いた。私が監修した訳本の原本は、唐山地震10周年記念シンポジウムに参加
された方から頂いたものだった。漢字がわかるということだけを頼りに拾い
読みしたところ、これが実に興味深いドキュメントらしいことがわかった。
そこで、中国人の通訳の人に、「日本語としては不完全でも良いから、どこ
も省略せずに訳す」ことをお願いした。原本を見ながら、草稿を日本語に移
すのは大変だったが、内容に引き込まれ続けた作業でもあった。原本の著者
は、地震直後の唐山に衛生兵として派遣され、その後現地を再訪して多くの
関係者とのインタビューを重ねた結果を一冊のドキュメントにしたのである。
もともと映画好きだから、こんなことに関われるだけでも嬉しかった。非
公開用のビデオをもらったが、内容的にも優れ、題目から予想される際もの
的な性格は全くなかった。非公開を前提にしたビデオは、コピーしても価値
がないように、画面の中央に水平な線が入っていることも初めて知った。松
竹が中心となって全国200館同時公開という話だったし、全国で何回も開い
た試写会の反響も良かった。試写会で配布するアート紙を使ったパンフレッ
トには、唐山地震に関するコメントも書いた。2月にニュージーランドで地
震があり、語学研修の日本人がたくさん亡くなったときには、公開を延ばす
べきかが議論されたが、内容の真面目さと映画の出来栄えから、その必要は
あるまいということになった。実際、その年のアカデミー賞への中国からの
推薦作にもなった。
大劇場で行われた試写会のひとつに行ったときは、周りの人たちがみんな
ハンカチで涙を拭っており、私もこみあげてくる気持ちを抑えられないこと
があった。私は東京電機大学にお願いして、3月15日に大学のホールを使っ
て、試写会を開かせてもらうことになっていた。REICの職員も、そのために、
信濃町の駅前でビラ配りまでしてくれた。そして電機大での試写会を直前に
控えた3月11日、東日本大震災が発生した。あれだけの大災害である。映画
の公開は無期延期となった。もはや、良い映画かどうかなどは問題ではなか
った。
まだ、公開の予定は立っていないようだが、私には残念な気持ちも残る。
大災害が人間の心に残す爪跡をこれほどまで描ききった映画は今までにもな
いと思うからだ。ポスターには、「わずか23秒間の揺れが、32年に及ぶ運命
の物語のはじまりだった・・・」とある。 (REIC会長 片山恒雄)
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